商標について知る

- 商標制度について -

商品・役務の類似

商標制度について

「他人の登録商標と同一又は類似の商標であり」、かつ「他人の登録商標の指定商品・指定役務と同一又は類似の商品・役務に使用するもの」については、登録を受けることができません(商標法第4条第1項第11号)。また、このような商標の使用を行うと当該他人の商標権を侵害することになります。

一方で、商標権が成立している他人の登録商標の指定商品・サービスと全く異なっている商品やサービスについては、当該他人の登録商標と同じ又は似通った商標について登録を受け、使用することが可能です。

そこで、他人の商標との類否を判断する際は、商標が似ているかのみならず、商品・サービスが類似するかの点についても確認をする必要があります。

なお、他人の有名な商標を真似した場合等、商品・サービスが全く異なっていても、商標登録も使用もできない場合があります。十分な注意が必要です。

<商品・役務の類似の判断>

世の中には多種多様な商品・サービスが存在しており、これが互いに類似するか否かをそのつど判断するのは困難です。そのため、特許庁の審査においては、これを「類似商品・役務審査基準」に基づいて判断することになっています。

「類似商品・役務審査基準」においては、特許庁における審査で「類似すると推定する※商品・役務」が定められ、類似する商品・サービス(役務)のグループ毎に、「類似群コード」というコードが付与されています。

例えば、第30類の商品「菓子」には「類似群コード:30A01」が付与されており、同じ類似群コード30A01が付与されている第30類の商品「サンドイッチ」は、審査において、互いに類似する商品であるとして取り扱われます。

逆に、同じ第30類に区分されている商品であっても、例えば、商品「茶」には「類似群コード29A01」が付与されているので、商品「菓子」と商品「茶」とが類似する商品として取り扱われることはありません。

そこで、商品「サンドイッチ」について、他者の商標「A」の登録が既にある場合には、商品「菓子」について、商標「A」又はこれと類似する商標「A'」の登録を受けることはできないということになります。

なお、「類似商品・役務審査基準」において定められている商品・役務の類似をおおまかに分けると以下のようになります。

  • 同区分において同じ類似群コードが付与されているもの。
    <例)第30類「菓子」 (類似群コード:30A01)
    第30類「サンドイッチ」 (類似群コード:30A01)
  • 異なる区分であるが同じ類群コードが付与されているもの
    例)第 8類「パレットナイフ」 (類似群コード:25B01)
    第16類「文房具類」 (類似群コード:25B01)
  • 商品と商品の小売等役務(小売サービス)とが互いに類似する商品、サービスとして取り扱われるもの
    例)第18類「かばん類,袋物」(21C01)
    第35類「かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる
    顧客に対する便益の提供」(類似群コード:35K02(21C01))/li>
  • 異なる類似群コードが付与されているが、場合により類似する商品・役務と取り扱われることがあるもの(いわゆる「備考類似」)。
    例)第9類「電子計算機用プログラム」(類似群コード:11C01)
    第42類「電子計算機用プログラムの提供」(類似群コード:42X11)
    ※備考類似の関係にある商品・役務は、通常の審査において両者が類似すると判断することはありませんが、「異議申立」や「無効審判」等があった場合に、両商品・役務の類否が判断されます。

出願に伴う先行商標調査等は、これらの点をしっかりと把握した上で行う必要があります。ご不明な点は弁理士に相談する事をお勧めします。

※「類似すると推定する」とは
あくまでも審査の都合上同じ類似群コードが付与される商品・役務を類似すると取り扱うことにしたものですので、実際の取引の実情等を踏まえ両者が非類似商品・役務であると判断される可能性もあります。

※指定商品/指定役務の類似関係及び付与されている類似群コードは、
以下の特許庁HP「類似商品・役務審査基準【国際分類第10-2014版対応】
にて確認することができます。
http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/shiryou/kijun/kijun2/ruiji_kijun10.htm

※その内容の変更に従い随時新しい版が掲載されていますので、最新のものを確認頂くよう注意下さい。

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